一般眼科
一般眼科
人間の目の中でカメラのレンズにあたる部分である水晶体が、加齢やその他の原因により色や硬さなどの性質が変化する病気です。(例:透明な水晶体→黄ばみや、硬くなる)。それにより普段から見え方がスッキリしないなどや、強い光などに対してまぶしさを強く感じることがあります。原因にもよりますが、早い方では40歳位から発症する場合もあります。
白内障がある程度、進行してくると視力や日常生活にも支障がでてきます。
ものがスッキリ見えなくなったり、眩しくて目を開けていることが辛くなってきたら、一度眼科での受診をおすすめします。白内障の程度にもよりますが、点眼液での治療など行うことができます。
ある程度までは点眼での治療になりますが、白内障が進行し視力の低下が強くなったり、日常生活に支障がでる場合、治療法は手術になります。手術は濁った水晶体を人工のレンズに取り換えるというものです。最も一般的な白内障の手術方法は、まず麻酔の点眼を行い目にメスで小さな切れ込みを作ります。そこから薬剤とチッソトーム(針のように細い器具)を挿入し、水晶体の水晶体嚢(水晶体の入っている袋)の前部分を円形にくり抜きます。そこから超音波の機械を用いて、濁った水晶体を細かく砕きながら吸い出していきます。濁った水晶体がなくなったら、水晶体嚢内に人工のレンズを留置し、目の中に残った薬剤を除去します。その後、小さな切れ込みに浮腫を人工的に作り(浮腫を作ることにより切開部分を縫わないで済みます)手術終了です。時間は10分から15分ほどで、その日は眼帯をして帰宅していただきます。
処置が必要とされる場合、他院に紹介いたします。
さまざまな原因がありますが、目の神経が損傷し視野が欠けていく病気です。過去の調査では日本人の40歳以上の方は20人に1人、緑内障と言われています。また、そのうちの90%の方は眼科にかかっていない、潜在緑内障と言われています。
緑内障は初期には自覚症状がほとんど無いため、自覚症状が出始めた頃には病状がかなり進行している場合が多くあります。
緑内障は進行すると最終的に失明をする病気なので、早期発見、早期治療開始が望ましいです。
緑内障には以下の分類があります。
房水(目の中の水)の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していくタイプの緑内障です。
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いことがわかりました。
隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。
生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。
緑内障のリスク要因として近視が強い方や年齢があります。元々、近視が強い方は目の神経の周辺部分の組織が薄くなりやすいため、緑内障になりやすいと言われています。また下の図で示されるように年齢が上がるにつれて、緑内障の有病率が高くなっています。
以下に、緑内障の視野イメージ像(※右目)を示します。
図でもわかるように、緑内障は病期によって進行していく病気です。緑内障初期の場合、自覚症状はほとんどないため、たまたま他の病気で眼科にかかった時に目の神経所見を指摘され、見つかる場合もあります。検診で指摘をうける場合は良いですが、見落されることも少なくありません。そのため40歳を過ぎたら一度眼科での検査をおすすめします。
まず大事なのが定期的な眼圧の測定です。通常、緑内障では点眼液を用いて目の眼圧を下げるのですが、それは全ての緑内障で眼圧を下げることが視神経へのストレスを減らし、進行のスピードを遅くすることが過去の研究で分っているためです。その後、視野検査とOCT(光干渉断層計)の検査を行います。視野の検査では自覚症状のない緑内障初期の視野欠損などを見つけることができます。OCTでは目の神経である視神経の周辺網膜の厚みを計測することができます。また当院でのOCTでは、さらに視神経周辺部分の血管の状態まで撮影することが可能です。
診察室では眼圧を正確に測定するアプラネーション眼圧測定や、隅角所見、視神経所見を確認し、機械での検査の結果と合わせ総合的な診断をします。
※右眼視野 マリオット盲点から伸びるベリリウム暗点を認める。
※右眼 視神経からの赤色部分は緑内障により網膜の菲薄を認める。
※光干渉断層血管撮影:緑内障により視神経周辺部の血管の狭窄が認められる。
現在の医療では緑内障の進行を完全に止めることはできません。しかし、点眼薬を使用することや、手術を行うことで眼圧を下げることができます。これにより視神経へのストレスを減らし、緑内障の進行のスピードを遅くすることは可能です。定期的な検査を行い、視野の進行具合や眼圧との相関の経過をみていくことは、緑内障において、非常に重要です。
網膜は眼底にある薄い神経の膜で、ものを見るために重要な役割をしています。網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ、無数の細かい血管が張り巡らされています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したり、詰まったりします。その結果、網膜に症状が出てきます。
初期(単純糖尿病網膜症)の段階では血管にコブ(血管瘤)を形成したり、点状の小さな出血をおこします。また出血に含まれるタンパク質や脂肪が網膜にシミを形成することもあります。この時期には自覚症状はほとんどありません。
病期が進行し中期(前増殖糖尿病網膜症)になると、細い血管が広範囲で閉塞し、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために新しい血管(新生血管)を作り出す準備を始めます。この時期には、かすみ目や視力低下を認める場合がありますが、全く自覚症状がない場合もあります。
さらに進行し後期(増殖膜糖尿病網膜症)になると、新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。新生血管の壁が破れると、硝子体に出血することがあります。硝子体は眼球の中の大部分を占める透明な組織です。ここに出血が起こると、視野に黒い影やゴミの様なものが見える飛蚊症と呼ばれる症状を自覚したり、出血量が多いと急な視力低下を自覚したりします。また、増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こし、失明に至る場合もあります。
糖尿病では糖が血管に障害を与え、血管は詰まりやすくなり破けやすくなります。特に目の網膜の毛細血管は体の中で一番細いため、症状が他の部位より出やすいです。網膜には酸素を運ぶための毛細血管がたくさん存在しますが、血流が悪くなると網膜が酸素不足となるために、体の反応として新生血管を作ろうとしますが、この新生血管は構造が未熟なため、非常に破けやすくたびたび出血します。その結果、かすみ目や視力低下の原因となります。
※若い方ほど糖尿病網膜症は進行が早いため、注意が必要です。
糖尿病網膜症はその程度(病期)によって治療方法が異なります。
初期のでは、血糖値のコントロールがメインとなるので、内科的治療のほか食事制限などを行います。
中期では、初期での治療に加え未熟な血管新生を抑制する目的で、網膜の血流が少ない部分(虚血部分)にレーザー光を照射する網膜光凝固術を行います。これは網膜が機能するのに必要な酸素量を減らすのが目的で、レーザーの照射は外来診察で受けることができます。網膜光凝固術は早い時期であればかなり有効で、将来の失明予防のために大切な治療です。
糖尿病網膜症は早い段階で発見できれば、治療も少なくまた治療効果も高くなります。
なので、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合に対して行われる治療です。眼球に3つの穴をあけて細い手術器具を挿入し、目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりするものです。顕微鏡下での細かい操作を要し、眼科領域では高度なレベルの手術となります。
そのため、すべての医療機関で行えるというわけではありません。
処置が必要とされる場合、他院に紹介いたします。
角膜(黒目の部分)の障害は、けがなどの外傷やコンタクトレンズの不適切な使用、細菌やウイルスの感染、ドライアイによる乾燥、その他さまざまな原因でおこります。程度にもよりますが、目の痛み、充血、目やにや涙、視力低下などをおこします。角膜混濁を起こして治癒後も視力障害が残ってしまうと、角膜移植が必要になる場合もありますので、早期の治療が大切です。
まぶたが赤くはれ、痛みがあり、原因は細菌感染です。抗生物質の点眼や内服で治療します。切開して膿を出すこともあります。
処置が必要とされる場合、他院に紹介いたします。
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜のことです。
花粉などが原因の特定の季節にのみ症状があらわれるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、一年中症状がみられるものは通年性アレルギー性結膜炎といいます。重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。
アレルギー性結膜炎では次のような症状が引き起こされます
眼科で行われるアレルギー性結膜炎の治療の基本は、薬物療法となります。薬物療法の目的は日常生活に支障がないように、かゆみの症状を軽くすることが中心となります。
治療には抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエータ遊離抑制薬)が主に使われます。重症の場合には、ステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬などを使用する場合があります。
アレルギー性結膜炎のなかでも、症状の出やすい時期が予測できる花粉などが原因のアレルギー症状の場合には、『初期療法』という考え方が適用されます。症状が出る前の花粉飛散時期の約2週間前から、または症状が少しでもあらわれたら、抗アレルギー点眼薬による治療を始める方法で、花粉飛散ピーク時の症状が軽くなります。毎年花粉症がひどい場合は、症状があらわれる前に眼科を受診することをおすすめします。また抗アレルギー点眼薬は比較的副作用の少ない薬です。使用中は勝手に中断することなく、眼科医の指示に従って使うことが大切です。
アレルギー性結膜炎の対策のポイントは、日常生活でできるだけアレルゲンに触れないことです。
※花粉症とスギ花粉の飛散量
花粉症に悩む人は毎年増え続けています。この理由の1つに花粉症の原因となるスギ花粉の飛散量が増えていることが指摘されています。
スギ花粉の飛散量は前の年の夏の気候に大きく影響されます。猛暑で雨の少ない夏の翌年は、花粉の飛散量が多くなるといわれています。また花粉が飛び始める時期は1~2月の気温に影響されます。この時期の気温が高いとスギの花芽の活動が早まり、花粉も早くから飛散するといわれています。天気予報や花粉情報に気を付けて早めの対策を心掛けましょう。
コンタクトレンズを正しく利用しないと、角膜の障害がおこり、いろいろな病気を併発します。「コンタクトレンズをつけていると目が痛くなる」など、普段とは違った状態になったり、自覚がなかったドライアイが、コンタクトレンズをしてひどくなる方もいます。
当院では、お一人おひとりに適切なコンタクトレンズの処方を心がけていますので、メーカー毎に少しずつ異なるレンズを考慮し、最適なレンズの提案をいたします。
また、遠近両用(老眼用)のコンタクトレンズ、モノビジョン(片目が近見用、片目が遠見用)、各種矯正用のコンタクトについても、処方いたします。
当院では医師の診断の元、10歳からコンタクトレンズの処方も承っております。(眼鏡をお持ちであること、使い捨てワンデータイプの処方に限る)